「人生の棋譜」 お客様アンケートより

今まで何本か階の公演を拝見してきました。それぞれに感銘を受ける作品でしたが、今回の点々‥が、一番しっくりきました。ご遺体が焼きあがるまでの1,2時間の間に起こる出会いや会話は、個々の観客をいろいろな解釈へといざないます。

どの読みが正解かとか、そういうことではなくて、まさに登場人物の小説家先生の小説と点々のように、いろいろ絡み合い、広がります。

「開演前から舞台上にいたふたりは、もしかして亡くなった人たち?そして喪服を着た3人の人たちは火葬場の待合室からここに迷い込んできている?もしかして、この空間は中つ国のようなもの?」と、最後の終わり方を見てふと思いました。そうなると、何度か繰り返される「宇宙から3人で来て帰るときには二人。見送るほう、見送られるほう」という「小説の筋書き」として語られる語りが、がぜんリアリティをもって立ち上がってきました。

黒石も白石も、盤上の戦いが終わるまで、自分の役割や意味はわかりません。人間も、死んでみてはじめて自分の人生の棋譜を確かめることになるのでしょうか。第二部を最後まで読み切った、「見送られる側」のストーリーを知ることができる人たちは、やはりあの世の人たちではないかと。

そして、点々も囲碁も現世での人生も、どれも終わりを告げるのは負けるほう(=人生の場合は、実存への執着を辞める、と決めることだと思う)、というのも味わい深いですね。(匿名様)

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